【テーマ:腎臓内科】 慢性腎臓病/透析について③|桜ヶ丘クリニック|兵庫県伊丹市の総合内科・腎/高血圧内科

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【テーマ:腎臓内科】 慢性腎臓病/透析について③|桜ヶ丘クリニック|兵庫県伊丹市の総合内科・腎/高血圧内科

【テーマ:腎臓内科】 慢性腎臓病/透析について③

①②ではなぜ透析患者数が増加しているのか、またそしてそれがなぜ社会問題になっているのかについてお話ししました。ここからは透析導入を防ぐためにはどのようにすればよいのか、というお話をさせて頂こうと思います。

 

(7) 透析導入数を減らすためには

先述の通り、生活習慣病を原因とした透析導入が近年劇的に増えています。そのため透析を防ぐためにはもちろん、

高血圧/糖尿病の早期治療、および慢性腎臓病の早期治療介入が重要となります。

高血圧,糖尿病を適切に治療しないまま数年~10年以上経過すると慢性腎不全に至ります。初めは尿検査でタンパク尿が見られるようになり、慢性腎臓病の進行とともに血液検査で腎機能低下(クレアチニン値の上昇)を認めるようになります。

なお尿検査異常の時点では元に戻すことができます。しかし血液検査でクレアチニン値の上昇を認めるようになればここから慢性腎臓病は悪化の一途をたどり(医学用語ではpoint-of-no-returnと呼びます)、最終的に透析に向けて一方通行で進行していくことになります。そのため尿タンパクの時点でいかに早く気付いて治療介入するかどうかが鍵になります。

 

(8) 慢性腎不全の進行を遅らせる治療

これは沢山のものがありますが、特に重要ものとして新旧2つの薬剤を紹介します。

 

 (ⅰ) アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 (ARB)

    アンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE阻害薬)

これら2種類はいずれも腎保護作用のある高血圧の薬であり昔からとても広く用いられております。代表薬として前者はオルメサルタン,イルベサルタン,アジルサルタン,テルミサルタン等が挙げられます。後者としてはエナラプリル,カプトプリル,リシノプリル等があります。既に内服されている患者さん方も多いのではないでしょうか。

これらの薬はざっくばらんに言うと腎臓をサボらせる薬です。そもそも腎臓は普段から過労なレベルで働いております。しかし慢性腎臓病になるとその過労状態がさらに加速します。例えば腎機能が半分になった場合、残り半分の腎臓は倍近く働いて無理をすることで、今まで通り体の機能を維持できるように頑張ろうとします。これは一時的にはうまくいきますが、やはり過労状態は長くは続かず無理をした腎臓はどんどん潰れていきます。そうなると残された腎臓はさらに無理して働こうとする→過労でつぶれる→無理して働く→つぶれる…の繰り返しでドミノ倒しのように悪化していきます。

この悪循環を断ち切るために用いられるのがARB/ACE阻害薬です。無理しすぎている腎細胞を良い意味でさぼらせることで、長期的に腎臓の寿命を長持ちさせる働きがあります。これらのお薬を投与しているか否かで腎臓の予後は大きく変わりますので、もし高血圧+慢性腎臓病をお持ちでまだ投与されていない場合はかかりつけ医もしくは当院に一度ご相談下さい。

 

 (ⅱ)  SGLT2阻害薬

この薬は元々10年位前に発売された糖尿病治療薬であり比較的新しい部類に入ります。体内の不必要な糖分を尿に排泄することによって血糖値を下げて糖尿病を改善する薬です。しかし近年この薬剤が腎臓の寿命を非常に延長するのではないかという論文が次々と出てきており現在腎臓内科の世界では大注目となっております。

代表薬としてはカナグル、フォシーガ、ジャディアンス等があります。こちらも既に内服されている患者さん方も多いかもしれません。

特にカナグルにおいては2019年にcredense試験という研究において糖尿病性腎症の患者さんの腎機能悪化の速度を半分くらいまで落とすという論文がNew England Journal of Medicineという世界最大級の医学雑誌に掲載され非常に注目されております。そんなに凄いことなの?と感じると思いますが、これは本当にすごいことです。

例えば65歳の方があと10年程経過した75歳で透析になる腎臓の状態であったとします。しかしこの薬を投与すると理論上は85歳頃まで腎臓がもつことになります。この患者さんの寿命が82歳であったと仮定します。カナグルを内服しなければ7年間透析が必要となるものを、カナグル内服することで生涯透析をしなくて済む人生に持っていくことができるようになるわけです。あくまで理論上ですが。。

そしてその後2020年にフォシーガというお薬は糖尿病ではない慢性腎臓病の患者さんにおいても腎保護作用があることを証明した論文を同じNew England Journal of Medicineに掲載しました。

あくまでこれは2-3年の新しい研究成果であり残念ながらまだまだ世間ではこれらの薬剤は使用されていないのが現状です。SGLT2阻害薬は慢性腎臓病による透析導入を減らすための大きな武器の一つです。今後かかりつけ医の段階で投薬することが普及することが、透析患者数減少に大きく寄与するのではないかと考えております。

 

 

以上長くなりましたが、慢性腎臓病/透析についてのテーマはこれで一旦終了といたします。

なお今後総合内科だけでなく腎臓内科をテーマにしたブログも定期的に上げていくつもりです。皆様の健康のために少しでもお役に立つことができれば私としては嬉しい限りですので、これからもよろしくお願いします。