【糖尿病の合併症】 ⑥ 中大血管の動脈硬化 ~総論~
- 2022年10月23日
- お知らせ
これまでは糖尿病三大合併症 (細小血管障害)のお話をしました。ここからは三大合併症以外の合併症のお話をしていきたいと思います。まずは重要な合併症である【中大血管の動脈硬化】について説明します。
(1) 中大血管障害とは
皆さんにとって糖尿病とは、心筋梗塞.脳梗塞,足壊疽等が怖いというイメージがあるのではないかと思います。実はこれらは全て中大血管障害という言葉で説明できます。例えば心筋梗塞は冠動脈という血管が詰まるため起こりますがこれは中血管になります。脳梗塞はいくつか種類があり、その原因の一つとして頸動脈のつまりが挙げられますがこれは大血管に分類されます。足壊疽は下肢動脈が詰まることで起こりますがこれも大血管にあたります。
つまり、糖尿病の命に関わる恐ろしい合併症の大部分は『中大血管障害』によって起こっていると言えます。
そしてこの中大血管障害はやはり動脈硬化が原因であり、逆に言うと心筋梗塞や脳梗塞にならないためには動脈硬化を防ぐことが最も重要になります。
(2) 動脈硬化の原因
さてこの動脈硬化ですが糖尿病のみで起こるわけではありません。他の疾患も大きく関わります。代表としては
① 高血圧 ② 糖尿病 ③ 脂質異常症 ④ 加齢 ⑤ 喫煙 ⑥ 慢性腎不全 etc
となります。糖尿病のみではなくこれらの疾患が複合して動脈に悪影響を及ぼすことで動脈硬化は進んでいきます。そのため中大血管障害は糖尿病特有の合併症とは言えず、糖尿病特有の三大合併症とは異なる存在に分類されています。
ちなみに高血圧,糖尿病,脂質異常症を同時にお持ちの方の心筋梗塞率は、なんと約35倍に増加すると言われています。そのため『糖尿病だけでなく他の生活習慣病もしっかり管理すること』が重要と言えます。
ここまでは糖尿病による中大血管障害の総論について説明しました。次項からは足壊疽,心筋梗塞,脳梗塞についてそれぞれ説明していきますね。