またまた遅くなりました。前項の続きをお話ししていきます。
(3)当院開院時のモットー
先述の通り、私は研修病院にて『人のために全力を尽くす姿勢』を指導医にたたき込まれて医師として育ちました。しかしそれを実行するには気持ちだけではなく実力が必要でした。そのため常勤病院での鍛錬のみではなく非常勤救急に毎週のように飛び込み無我夢中で仕事をすることにより、通常勤務のみでは決して得られない豊富な経験値および医師としての確固たる自信を身に付けることができました。
私は桜ヶ丘クリニックを開院する際、これまでに培ってきた医師としての力と研修医からのポリシーをもとに『地域の患者さん方の健康のために全力を尽くす』ことを心に決めておりました。
(4)コロナ禍の診療の難しさ
しかし当院開院直後にコロナの第7波が訪れました。地域の患者様方のためにお役に立てるよう、発熱外来を設けるか否かは非常に苦慮されるものでした。開院後間もない我々にとって、慣れない業務の最中に発熱外来を始めることで通常診療が疎かになってしまうのでは?という不安が非常に強い状態でした。また少ないスタッフで勤務している中でもし職員間での感染が広がった場合、休業を余儀なくされることも懸念の一つでした。結果、思慮に思慮を重ねた結果、第7波の際は発熱外来を見送る方針としておりました。
(5)なぜ今回発熱外来開設を決意したのか?
私は総合内科および内科救急として勤めていた際、発熱症例を誰よりもたくさん診察してきたつもりでした。それなのに自分の医院を開いてから発熱の患者さんを診ない方針としていることに関して、本当にこれで良いのか?と常に自問自答をしておりました。第8波がすぐそこに来ている以上、『目の前の患者さんに全力を尽くす』ことをモットーにしているのであれば発熱外来もやはり行うべきではないのか、と思い始めました。
そこで心配だったのはスタッフの皆さんの協力が得られるのか、また新生児もいる中で家族の理解が得られるか、という点でした。しかしこれも杞憂にすぎませんでした。発熱外来を始めようかと考えているとスタッフや家族にお話ししたところ、反対しないどころか、むしろ積極的に発熱外来に関する様々なアイデアや勤務体系の整備を行ってくれました。妻も「これから洗濯物が増えるね(笑)、子供のこととか移るかもとかは心配しないでいいから頑張って」と言ってくれました。良いスタッフの皆さんや家族,また立地にも恵まれたことでようやく私も発熱外来の開設をこの度決意することができた次第です。これからも地域の皆さんのニーズに答えられるよう張り切っていきたいと思っております。
長くなりましたが今回当院が発熱外来を開設した経緯に関しては以上になります。次は当院の発熱外来の様式に関して説明したいと思います。