AI時代を考える⑨ ~”戦後日本を支えた終身雇用~|桜ヶ丘クリニック|兵庫県伊丹市の総合内科・腎/高血圧内科

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AI時代を考える⑨ ~”戦後日本を支えた終身雇用~|桜ヶ丘クリニック|兵庫県伊丹市の総合内科・腎/高血圧内科

AI時代を考える⑨ ~”戦後日本を支えた終身雇用~

戦後日本のアイデンティティの確立が難しい世の中において、先人たちはそれでも大いなる経済成長をもたらし現在の日本へと導きました。その根底には何があったのでしょうか?私の仮説ではありますが、その拠り所の答えは『終身雇用』ではないか?と考えております。

 

5⃣ 戦後日本を支えた精神、『終身雇用』とその崩壊の時代

戦後日本は辛く貧しいだけではなく、「国家元首の元に自分が存在する」という封建主義的精神をも失ってしまいました。そんな中で苦境にある戦後日本の人々を支える”新たな宗教的存在”が日本にも必要となりました。私としてはそれが『終身雇用制度』であったのではないかと考えております。会社を信じて入社、会社のためにしっかり働けば収入は確実に得ることができる、そして年功序列で収入は増加していき、退職金も最終的に得ることができる。人々を支えたのはこの会社への一種の信仰なのではないか、と私は考察します。この雇用者-被雇用者間の一種の”契約”が人々にとっての心の拠り所になり、『一生懸命働くこと=幸福』と信じこむことができたため、それが大きな原動力となり日本の高度経済成長に繋がったのではないでしょうか。そのため親や祖父母世代の方々は、先述のプロテスタンティズムから近代までの世界の労働観と同様、労働に対してポジティブに捉える傾向があるのではと感じております。

しかし少子高齢化や世界のIT革命と共に、戦後日本を支えた終身雇用は崩壊しつつあります。戦後日本を最も支えた会社信仰、終身雇用という「日本人の一種のアイデンティティ」が失われたため、現代の若者が何を信じたらよいか分からず、自分の存在の定義を見失い一種のレジグナチオン(諦念)に至っているのではと考察しております。『現在の労働=安定性,将来性のない価値が乏しい努力』となってしまっているが故に、現代日本の人々にとって『労働=苦痛を生むもの』に概念が移り変わってしまったのではないでしょうか。これは本当に根深くまた非常に難しい問題ですね。

 

 

以上、長編で恐縮ではありましたが、世界の労働観の歴史や日本の労働観の変遷についてお話ししました。私見もかなり入っておりますが、【AI時代の到来→労働からの解放が本当に幸せに繋がるのか】という本題についてお話しする土台が整いました。これからは本題に移っていこうと思いますが、その前に「なぜこの話題をブログで掲載したのか」について少し挟ませていただきたいと思います。