皆さまこんにちは。
先日2022年6月23日(木) 伊丹シティホテルにて『高齢者のmulti-morbidityを考える』というテーマの勉強会に参加してきました。multi-morbidityとは多疾患症候群のことで、高齢者の方は例えば高血圧,糖尿病,脂質異常症,虚血性心疾患,慢性腎不全等の慢性疾患を複数お持ちの方がたくさんいらっしゃいます。
その中でやはり『高血圧が全ての慢性疾患の要である』と市立伊丹病院の伊東先生は仰っていました。これは我々かかりつけ医のレベルでは確かに本当に実感できることでした。
たとえば【高血圧→心筋梗塞→慢性心不全】+【高血圧→慢性腎不全】により心腎機能が非常に低下している患者さんにおいて新たに悪性腫瘍が見つかった場合、心腎機能を鑑みて悪性腫瘍に対する全身麻酔の手術ができないケースがよくあります。これは加齢の一言で片づけられることも多いですが、元を正せば高血圧さえうまく治療できていれば手術もできて助かったケースとも言えてしまいます。しかし医療職ではない方々にとって、お若い頃からの高塩分食や降圧不良がまさか後にこのような形で影響することは中々イメージが湧かないことも多いと思います。このような例からも分かるように中年期からの生活習慣病の自己管理および投薬管理が重要になってきますが、残念なことに現実は医療者側の目標は全く達成できておりません。
というのも日本の高血圧患者さんは約4300万人と言われておりますが、そのうち半数は未治療と言われております。また治療されている方の中で目標血圧が達成されているのはその半数との統計があります。そのため実際に降圧目標を達成できているのは、なんと高血圧患者さんのうち実は25%程度ということになります。(2019年高血圧ガイドライン参照)
このデータは我々かかりつけ医としては非常にショックなものであり、日々の臨床において皆さんに高血圧の治療の重要性を、自身の経験も交えてより積極的にお伝えする必要があると再確認されるものでした。今後気を引き締めてより一層励みたいと思いますので血圧でお悩みの方はいつでも当院にご相談下さい。