前項の通り1970年以降は脳卒中による死亡者数は劇的に減少していきました。それと入れ替わるように癌による死亡者数が劇的に上昇してきております。この現象をどう捉えるのか?というのがまず現代医療における大きな課題です。
しかしこの理由は至ってシンプルです。前回のブログの内容を思い返してください。1950年-1970年にかけて脳卒中がなぜ増えたのか?の答えは『結核で若くして亡くなる方が減ったから』でした。これと同じです。
癌はなぜ増えたのか。その答えは『脳卒中で50-60歳で亡くなる方が減ったことにより長生きできるようになった』というのが答えです。
本当?と思う方も多いと思います。これを正しく解釈するためにはそもそも癌ができる仕組みを理解する必要があります。
(1) なぜ癌はできるのか?(ここからはややこしいですがご容赦下さい)
元々人間の体は60兆個もの細胞で成り立っています。しかし通常の生活していても毎日約1%の細胞が死んでしまいます。つまり数千億もの細胞が失われるわけです。そのためそれを補うために『細胞分裂』が行われます。細胞分裂はDNAをコピーすることで複製した細胞を作ります。このコピーの作業は非常に正確になされており1億回に1回程度しかミスが起こらないといわれています。
(これってよく考えるととんでもない精度ですよね、、)
そのミスで生み出される細胞が『がん細胞』です。実は人間の体では毎日5000個のがん細胞が生まれているといわれています。でも当然それじゃだめですよね。DNAのコピーミスによるがん細胞の完成を阻止するために働くのが『免疫(特にNK細胞)』です。がん細胞=非自己の細胞を免疫が毎日監視して徹底的につぶすことによって癌化は阻止されています。
つまりこの免疫による防御をもってしてもがん細胞に打ち勝てなかったとき、人は癌に罹患するわけです。
長くなりましたのでここで一旦切ります。
番外編2に移りますのでよろしければ続きを見て頂けると幸いです!