コラム

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貧血について③

2022.08.04

これまでは男性および閉経後の女性の出血性貧血では、胃癌や大腸癌の可能性を疑い精査を進めるべきというお話をさせて頂きました。最後に私の経験症例を提示したいと思います。

 

(6)医学の格言:男の貧血は癌を疑え

私は学生のころからこう教わりました。しかし残念ながら世間の医療機関で必ずしもその認識がなされているか甚だ疑問です。というのもかかりつけ医で鉄だけ処方されて様子観察されている症例をこれまで死ぬほど見てきたからです。下に幾度となく経験した例を示します。

  (7) よくある見落とし症例

例)私が総合病院で働いている時代のことですが、食欲不振の男性の患者様が救急に来ました。かかりつけ医の内服薬を確認すると鉄剤が処方されていました。「これはいつからなぜ処方されていますか?」と聞くと2-3年前から貧血があるからとのことです。胃腸のカメラは勧められましたか?と聞くとそんな話はなかったです、との返答でした。これは最悪だ、、と思い院内で胃カメラ/大腸カメラ施行したところすでに大腸癌Stage4でした。2-3年前に見つかっていれば助かったかもしれないのでは、、と悔やんでも悔やみきれない内容です。

 

ちなみにこのような例を大げさではなく正直100回以上見ています。これは私の持論ですが、医師の知識不足は罪です。医師はどこまでも勉強して賢くないと人を不幸に導いてしまいます。

このかかりつけ医は消化器内科の専門ではないから仕方ない、という論調もありますが答えはNOです。

なぜなら(6)でお話しした通り学生ですら知っている知識です。このレベルの知識に専門も何もありません。

ちなみに専門医とは『治療の専門家』です。初診医が気付かない限りは専門医に紹介できません。なのでかかりつけ医は専門など関係なく正しい診断を行うために当然幅広い知識が求められます。つまり総合内科としての力が重要です。専門家という言葉が免罪符になっている医療の世界は、患者さんのことを第一に考えると決してよくない風潮だと思います。

 

しかし残念ながら世の中でこのような見落としが多いのもまた現実です。医師の実力の見極めは非常に困難であり、当たる医師次第では人生が変わってしまうことも多いです。なので自己防衛のためにも患者さん方がこのような知識を少しでも身に着けて頂ければ自分で人間ドッグや消化器内科を受診して自分の身を救うこともできると思いますので是非参考にしてください。

これをもって貧血のテーマは終了とします。ここまでご覧いただきありがとうございました。

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