こんばんは、今回は胸の違和感についてお話していきます。
皆さんは胸が苦しいという症状を経験したことがあるでしょうか?
胸部違和感の原因は心筋梗塞のような一刻一秒を争うものから、逆流性食道炎のような全く命にかかわらないものまで、非常に振れ幅が広くなかなか難しいものです。症状を軽視することは決してよくないですが、ある程度セルフチェックことも大切ではないかと思います。
では実際に医師はどのように胸部違和感を診断しているのか、について説明していこうと思います。
(1)まずは症状を分類する
胸部違和感は以下の大きく3つに分けられます。
①胸痛 ② 動悸 ③ 胸やけ
しかし患者様が「今朝から胸やけがするんです」と語るにも関わらず心筋梗塞であったり、逆に「胸が痛いんです」と言っているが実際は胸やけであったりと症状は非常に不確実です。なので患者様の症状を決して鵜呑みにせず、もう一度自分自身でよく聞いて胸部違和感の種類を分類しなおすことが重要です。
(2)Onsetを確認する(最重要!!)
Onsetとは症状の始まり方のことです。少し格好つけました、すいません(笑)
しかし救急の世界ではこのonsetは極めて重要です。専門用語で言うと、sudden onset (突然の発症)とgradually onset(徐々に症状が出てきた)の2つに分けます。
sudden onset、つまり突然発症の胸部違和感の場合は、例外なく非常に危ない疾患が想定されるので今すぐ大病院に紹介されたり緊急手術をすることも多いので注意が必要です。
(3)Sudden onset(突然の胸部違和感)とKiller5
突然の胸部違和感、胸痛の場合は『Killer 5』を想定することが必須です。これを知らずになんとなく見ている医師は結構多いのですが非常に危険です。
『Killer 5』とは、以下の『胸痛の中で人の命を奪いかねない5つの疾患』のことを指します。
(① 心筋梗塞 ② 肺塞栓 ③ 大動脈瘤破裂/大動脈解離 ④ 緊張性気胸 ⑤ 食道破裂)
どれもこれも恐ろしい病気ですよね。
ここで伝えたいことは一つです。『突然の胸痛は遠慮なく今すぐ救急車を呼んで構いません』。
ここまで大丈夫でしょうか。ここまでは一刻を争う危険な胸痛の見極め方をお話ししました。次項ではそれ以外の胸部不快感の診断の仕方について説明していこうと思います。