前編の続きから説明していきます。
(4)狭心症に典型的な症状
【胸部違和感や胸痛が数分~10分程度続く、比較的広い範囲、冷汗をかく、肩に響くような痛みがある】
このような症状の場合は狭心症の可能性を強く疑います。
※ちなみにこのような症状が30分以上続く場合は心筋梗塞を疑います。
※30分以上症状が続く場合は必ず早めに救急車を呼んでください。心筋梗塞で亡くなる方のほとんどは病院に辿りつく前に不整脈で命を落としています。どれだけ早く病院にたどり着くかで助かる確率が変わるので是非覚えておいてくださいね!
(5) 狭心症の分類1:発症様式からの分類
① 労作性狭心症(最も典型的)
歩いたり走ったり等、動いたときに(4)のような症状が起こるものを指します。
この場合は狭心症の可能性が非常に高く、運動負荷心電図やカテーテル検査を行うことになります。
② 異型狭心症:文字通り異なるタイプの狭心症
労作性狭心症と異なり、早朝や夜間に安静にしている時に(4)のような症状が起こるもの。
もちろんこの疾患も存在しますが、労作性狭心症と比較して決して多くはないです。
安静時に狭心症と似たような症状を出すほかの疾患(逆流性食道炎etc)の方がよほど頻度は高いため医師は安易に異型狭心症の診断を下すべからず、なのですがこの疾患はかなり誤診されている例が多いのが現状ですね。。
(6)狭心症の分類2:危険度からの分類
① 安定狭心症(危険度低)
文字通り症状が安定しているものを指します。狭心症のうち、次の不安定狭心症の定義を満たさないものがこれになります。
② 不安定狭心症 (危険度高)
不安定狭心症とは血管内膜のプラーク(コレステロールの塊のようなもの)が非常に不安定であり、いつ敗れて心筋梗塞になってもおかしくない不安定なものを指します。以下の3つのどれかを満たす場合不安定狭心症の可能性を疑います。
(ⅰ)労作性狭心症の頻度が非常に高くなっている(例:毎日歩くと胸が痛い)
(ⅱ)労作時だけでなく安静にしている時も狭心症が出る
(ⅲ)初発の狭心症
不安定狭心症の場合、近日心筋梗塞になる恐れがあるため注意が必要です。回避するためにカテーテル検査を行うことが重要です。
以上、狭心症に関してかなり複雑ですが説明してきました。
とにかく皆さんの命を守るためにもまず狭心症の典型的な症状を知ること、そしてもしご自身の狭心症に当てはまる場合にそれが不安定狭心症か否かを判断し、不安定狭心症の診断の場合は心筋梗塞を防ぐためにも心理的に拒否することなく速やかにカテーテル治療を考慮に入れないといけない場合があることをこの機会に知って頂けると幸いです。