皆さんこんばんは!本日は総合内科をテーマにお話しします。
当院は『総合内科・腎高血圧内科』の標榜で開院いたしました。ついこの間開業したつもりでしたが気付けば早くも3か月経過しており時が経つのはとても早いな、と改めて実感しております。
さて来院された皆様から、『総合内科って普通の内科と何が違うのですか?』とよく質問を頂きましたので、本日は総合内科をテーマにお話しさせていただこうと思います。インターネットで検索すると総合内科に関して様々な言及があると思いますが、ここでは少し偏っているかもしれませんが私の意見をお話ししようと思います。
■総合内科とは
実は内科医はもともと総合内科のスキルは必須です。内科疾患はそれぞれ複雑に絡まり合っており、自科の専門だけの知識では目の前の患者さんを誤った方向に導く可能性があるからです。しかしこの10‐20年間の目覚ましい医学の進歩と共にそれぞれの科の必要とされる知識量が膨大になりました。感覚的にはそれぞれ一つの科目でも以前の医療と比較して現代の医療は10倍以上の勉強が必要になっているのではないかという印象があります。そのため各科の専門性は非常に高くなり、総合内科の敷居も同時に高くなってしまいました。
■専門医という名の免罪符
昨今の医療では『専門医』ばかり重宝される世の中になりました。もちろん専門家は非常に重要です。例えば癌の手術、心筋梗塞のカテーテル治療、心臓手術、消化管内視鏡、神経難病等においては専門家の存在は欠かせません。しかし患者さん方が専門医をとても重宝するようになったことにより、医師は楽な方向に流れるようになってしまいました。『私は××内科専門だからわからない、その内容は△△専門の先生に紹介します』といえば許される世の中になりました。
その結果1人の患者さんを3人の専門医が診察しているが、それぞれの医師に誰一人『主治医としての自覚』がなく自分の分野だけぼーっと診ているというケースが非常に多くなっております。多分□□先生が診ているだろうとお互いの担当医が思い込んだことにより結局全員で重大な疾患を見落としている、という症例を私は総合内科として多くみてきました。私個人の感想ですが専門医という言葉は『患者さんの悩みや病気を黙殺するための免罪符』に成り下がっていると思います。
■専門医に対するアンチテーゼとしての総合内科
上記のような専門医信仰による失敗の反省をふまえて、『総合内科の重要性』が再確認されることになりました。しかし20年以上前と比較し総合内科の難易度は比べ物にならないレベルに上がりました。そのため、新たな専門家として『総合内科』という科目を立ち上げることで各科の専門に囚われずに幅広い疾患に対応できる医師を育てよう、という取り組みが私が研修医になった頃から始まりました。そのため私は幸運にも総合内科という概念を研修医の頃から触れることができました。
皆さんも想像される通り総合内科を極めるのはあまりに難しいものでありゴールのない道のりですが、今後も日々の臨床や論文報告と向き合い、総合内科医として少しでも患者さん方のお役に立てるよう日々研鑽して参りたいと思っております。これからもどうぞよろしくお願いします。