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【テーマ:腎臓内科】 慢性腎臓病/透析について①(まずは大きな流れから)

2022.08.29

皆さんこんにちは。暑い日々が続いておりますが熱中症に気を付けてお過ごしくださいね。

最近は総合内科の話題が続いていたので、これからしばらくは私のもう一つの専門である腎臓内科の話題についてお話しします。『総合内科的知識が問われた経験症例』シリーズは今後も定期的に更新していきますね。

さて本日のテーマは慢性腎臓病についてです。

 

(1) 慢性腎臓病について

おなじみACジャパンより「若いうちから、腎臓検診」というCMが最近出てきております。マンガ島耕作シリーズの登場人物がモチーフになっております。なぜ最近になってこのような啓蒙活動が行われているのか?となりますが、それは近年透析患者数の増加が深刻な問題になっているからです。

実は我が国には約1330万人もの慢性腎不全患者がいるといわれています。慢性腎不全は数年~数十年かけて腎臓が悪くなっていく病気です。そして最終的に腎臓がほぼ機能しなくなった時に、腎死=人工透析に至ってしまいます。そのため透析人口を減らすためには、慢性腎臓病の早期発見、早期治療が非常に重要となります。

 

(2) 透析患者数の増加について

1980年頃は透析人口は約5万人でした。それが2000年には約20万人、2018年には約35万人と急激に増加しております。単純計算でいくと「年間約1万人」ずつ増加していることになります。

しかし実態はもっと恐ろしいものです。実は新規透析導入は毎年約4万人ですが、透析患者さんのうち毎年約3万人の方がお亡くなりになるため、「新規導入4万人/年-死亡者数3万人/年=透析患者数+1万人/年」ということになります。

これからわかることは2つの事実です。

  ① 毎年4万人もの方が新たに透析になっている

  ② 透析患者さんは毎年10人に1人の方が亡くなる予後不良の疾患

 

(3) なぜ透析患者数が増えているのか

これは透析の原因疾患の分布をみると良く分かります。

 ■1980年代:慢性糸球体腎炎 60%/糖尿病性腎症 15%/腎硬化症 3%/その他

 ■2000年頃:慢性糸球体腎炎 32%/糖尿病性腎症 35%/腎硬化症 7%/その他

 ■2016年  :慢性糸球体腎炎 16%/糖尿病性腎症 43%/腎硬化症 14%/その他

※腎硬化症:高血圧による慢性腎不全

 

これを見て分かるように近年では『糖尿病+高血圧による慢性腎不全』が全体の57%を占めるようになっています。1980年代の18%に比較すると凄まじい増加となっております。

こちらも要因としては2つです。

  ① 慢性糸球体腎炎による透析導入が検診による早期発見,早期治療により減少

  ② 糖尿病,高血圧(いわゆる生活習慣病)による透析導入が非常に増えている

 

特に後者は重要です。1980年頃ならば高血圧/糖尿病を基礎疾患を持つ多くの方は透析に至る前に心筋梗塞や脳梗塞により亡くなられていました。しかし近年の医療体制の充実により平均寿命が延長したことにより、腎臓がヒトの寿命まで耐え切れなくなって透析しないと生き永らえない方が非常に増えた、というのが実情です。

 

長くなりましたので続きは次のブログで綴っていきますね。

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