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総合内科的知識が問われた経験症例 Part4 『胸痛』 前編

2022.09.28

今回は久々に総合内科症例でお話ししたいと思います。

Part4 【胸痛を主訴に救急車で搬送された65歳男性の症例】

今回は私が総合病院で勤務している時に経験した症例です。その日は後輩の医師が救急担当であり私はバックアップでした。救急車で胸が痛いという症状で65歳男性が搬送されました。患者さん曰く『前日からお酒を飲んでおり二日酔いでトイレで何度も嘔吐した。その時に便器に左胸をぶつけてそれから左胸が痛い』とのことでした。まずは後輩医師がある程度まで診察しており、各種検査の後に私のPHSに『外傷性血胸の患者さんが救急に来られているので胸腔ドレナージをしたいので手伝って頂けないでしょうか?』との連絡があったので私も救急外来に向かいました。今回はそこからのお話となります。

 

(1) 現在の状況の確認 (情報収集)

■ 外傷性血胸とは

これは交通事故等で胸を強くぶつけた際に肺が損傷することで胸腔内に血液が充満している状態です。適切な治療を行わなければ出血多量による失血死や呼吸困難に陥る可能性がありますので非常に危険な状態です。主に胸部CTで診断します。

■ 今回の胸部CTの所見は?

胸部CTを確認したところ、確かに左胸腔内に出血を疑う『胸水貯留』のサインがありました。胸をぶつけたエピソードと合わせて考えると外傷性血胸の可能性は十分に考えられるものでした。

■ 胸腔ドレナージとは

肋骨と肋骨の間の皮膚や皮下組織を切開、そこから胸腔内に太いチューブを入れて水や血液を抜く処置のことです。

 

患者さんのお話や胸部CTの所見を踏まえたところ、現状しっかりと診断をつけて正しく治療方針が決まっているように感じられると思います。しかし私はこの診断や治療方針に一つの強烈な疑問が浮かんでいました。そしてこれまで何度も言ってきたように、【違和感=診断が変わる瞬間】につながるので内科医にとって非常に重要となります。実はここまでの説明の中に既にその違和感の答えはあります。

 

 

毎度のごとく長くなりましたのでこの続きは次項でお話しいたします!

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