ここからは前項でお話しした『糖尿病特有の合併症=細小血管障害』についてお話ししていきます。
(3) 糖尿病特有の合併症=細小血管障害
テーマ1でもお話ししたように、糖尿病の最大の特徴は非常に小さな血管を障害することです。そしてこの非常に小さな血管(細小血管)が集まっている臓器があります。これが眼,神経,腎臓です。
そのため糖尿病の合併症の代表疾患としては以下の3つとなります。
【糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症、糖尿病性腎症】
そしてこれらを合わせて糖尿病3大合併症と呼ばれております。
(4) 3大合併症の進んでいく順番
糖尿病が起こるとすぐに合併症が進むわけではありません。例えば糖尿病性腎症は糖尿病罹患後より10年~15年経過してから発症することが多いと言われています。ではどのような順番で進行していくのかというと、
①糖尿病性神経症→②糖尿病性網膜症→③糖尿病性腎症
の順に進んでいくと古典的には言われています。これは俗に『しめじの法則』(しんけい、め、じんぞうの頭文字を取って)と呼ばれています。これに何の意味があるかと言いますと、糖尿病が原因で腎臓が悪い方は同時に網膜も障害されていることが多い、ということです。そのため既に腎症が進んでいる方は内科だけではなく定期的に眼科を受診することがbetterであり、それが失明を回避するために非常に重要となります。
しかしearly declinerといって、糖尿病性腎症が古典的な順番を守らず劇的に進むというイレギュラーなタイプも最近多く報告されているためこちらも注意が必要です。
では次項からは3大合併症のそれぞれに関して説明していこうと思います。