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発熱外来開設に関する経緯について② ~勤務医時代の振り返り~

2022.12.04

続きをお話ししていきます。

 

(1)主に『断ってはいけない』精神で働いてきた勤務医時代

 ② 総合内科時代

 (ⅱ)上司からの教育的指導

その日の3日前に透析状態の方で重症肺炎の患者さんを私が救急で診療し、その後私が主治医になりました。集中治療室(ICU)で24時間持続透析(CHDF)/人工呼吸器の装置をつなぎ、透析をしながら抗生物質の点滴や全身状態の管理を行っていました。しかしその患者さん一人だけでも大変でしたが、同時に私の担当していた入院患者さんは18名程でしたので家に帰る余裕はなく、病院に3日間ほど泊まり込みで働いていました。そしてその日はようやくICUの患者さんの状態が落ち着いたので、今日こそ家に帰ってゆっくり休むぞ!と思っていました。それでも仕事が終わった時刻はすでに22時半頃でした。

その帰り間際に救急一覧を開くと重症急性膵炎の患者さんが救急搬送されていました。重症急性膵炎は死亡率30%にも上る非常に危険な疾患です。ちなみにその日の救急の当番の医師は皮膚科Dr+研修医でした。病院に他に残っている医師は私だけでしたが、その日は私は救急当番ではありません。(今日の当直医にとっては少ししんどい内容だろうから手伝おうかな?)と一瞬思いましたが、3日間泊まり込みであまりに疲れていたのでさすがに帰ることにしました。

その翌日、総合内科副部長から呼び出されました。

 

副部長「昨日重症膵炎の患者さんが来てる時病院におったって聞いたけどなんで手伝わんかったんや?どう考えてもその時間で一番しっかり診れるのはお前やったやん。」

私「気付いてはいました。ただ最近ICUの患者さんの診療含めて本当に疲れてたので帰ってしまいました…」

と正直に答えました。その時私は自分は悪くないと思っていました。何科の医師であれど病院当直医として勤務する以上、自分で患者さんを診れる力を身に着けるべきだ、と思っていたからです。ただその後の上司の言葉で思い直させられました。

 

副部長「俺は正直残念な気持ちやってん。確かに大変な患者をいっぱい担当しててしんどいかもしらん。けどそれでも専門外の先生達が困ってるときに助けるのが総合内科やないか。俺と一緒に働くからにはせめてそうあってほしいんよ。技術はこれから身についても、その医者としての心構えはお前の学年でしか変わられへんのよ。」

 

これは誰よりも皆のために働いている副部長だからこそあまりに説得力のあるとても重い言葉でした。『自分も大事、しかしそれでも困っている人がいるならばそれを助けるのが医師』というとても大切な精神を改めて再確認した瞬間でした。

 

 

…続きは次項に移ります。

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