前項の続きです。引き続き労働がもたらすポジティブな側面についてです。
6⃣ 労働と健康
(3)規則正しいリズムを作りやすい
交代制の勤務の方は別ですが多くの方にとって仕事のおかげで生活リズムを整えやすくなります。
朝決まった時間に起き、夜決まった時間に眠る。この規則正しい生活が体のサーカディアンリズム(概日リズム)を作ってくれます。逆にこれができていなければ体内時計の狂いにつながります。それが精神的不衛生や不眠症,うつ病を発症するきっかけになることが多いです。学校や仕事が無くても自身を律して健康的な生活を営むことができる方もいらっしゃいますが、実際は人間は弱いもので退職後に生活リズムが大きく乱れる方が多いです。おそらく将来的に私もその一人になるのではないかなと思います。心身共に健康な生活を営むためには『就労による規則正しい生活の確立』が重要となります。
(4) 飲酒や喫煙の減量
帰宅後に飲酒や喫煙をたしなむ方は多いと思いますが、仕事中は控える方がほとんどだと思います。しかし無職の方や退職後の方はセーブが利かなくなることが多くなります。その結果特に飲酒においてはアルコール中毒やアルコール性肝硬変に至り死期を早めることも多くなるわけです。臨床現場ではアルコール中毒の患者さんは悲しいことに周りから見放されてしまうことも多く、家庭的/社会的孤立から孤独な老後を迎えたり、時にはそれが犯罪につながることもあります。
なかなか仕事なしでは規則正しい健康的な生活を営むことが難しいと思います。そんなことはないと仰る方もいると思いますが、それはあなたが強いだけです。引きこもり児のほとんどは昼夜逆転に陥ります。つまり普通は人間弱い生き物ですので仕事や家庭でなすべきことがあるから健康を維持することができるわけです。