医師の日常臨床 ~鑑別診断と除外診断について Part2~ 胸痛を例に考察|桜ヶ丘クリニック|兵庫県伊丹市の総合内科・腎/高血圧内科

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医師の日常臨床 ~鑑別診断と除外診断について Part2~ 胸痛を例に考察|桜ヶ丘クリニック|兵庫県伊丹市の総合内科・腎/高血圧内科

医師の日常臨床 ~鑑別診断と除外診断について Part2~ 胸痛を例に考察

前項では胸痛患者さんにおける鑑別診断についてお話ししました。次に鑑別診断の絞り込みについてお話ししていきたいと思います。振り返りとして胸痛の鑑別診断を以下に挙げます。

 

() 心臓:狭心症、心筋梗塞、心膜炎、不整脈 etc

() 肺:肺がん、肺気胸、肺塞栓 etc

() 胸膜:胸膜炎、癌の胸膜転移 etc

() 食道:逆流性食道炎、特発性食道破裂 etc

() 大動脈:大動脈瘤破裂/切迫破裂、大動脈解離

() 精神:心因性

 

このように羅列的に挙げた場合、漏らすことは少なくはなるのですが日常臨床,特に救急診療においてはとても非効率になってしまいます。そのため特に救急診療においては鑑別診断の挙げ方を『臓器別→緊急性順』にマインドを置き換えることが大事になります。ここで上の鑑別診断を緊急性のあるものとそうでないもので分けるのですが、胸痛は1分1秒を争う病気が多いため医師が熟慮の上で思いつくというのでは実用的ではなく、表現はよくないですが『バカの一つ覚え』のように思いつく必要があります。ここでのキーワードは『Killer 5(命を奪う5つの胸痛疾患)』です。これを以て鑑別診断をさらにフォルダー分けしていきましょう。

 

Killer 5:心筋梗塞、肺塞栓、大動脈解離、緊張性気胸、特発性食道破裂

Killer 5以外:()()のうちのKiller5を除くその他の疾患

 

これにより実臨床に即した鑑別診断に生まれ変わることになります。クリニックの外来はお一人当たり実質の持ち時間は平均3-5分になるので瞬時に緊急性を判断する必要があります。

 

ここまでが鑑別診断のお話です。次はこの中から一つの疾患に絞り込む必要があるわけですね。このステップが『除外診断』になります。次項からは除外診断を行っていきましょう。