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胸部不快感の代表疾患③ 逆流性食道炎 ~後編~

2022.08.11

前編では逆流性食道炎とはどのような病気なのか、またその症状について説明しました。

こちらでは逆流性食道炎の診断及び治療についてお話しします。

 

(4)逆流性食道炎の診断の仕方

寝転んだ時や起き上がった時に酷くなる胸やけや咳の場合、逆流性食道炎を疑います。

検査としては消化器内科ではよく胃カメラを行うことが多いです。実際胃カメラは有用な検査であり、逆流性食道炎の患者さんの約8割で、胃酸により食道が焼けている所見を認めます。しかし逆に言うと約2割の逆流性食道炎は胃カメラで異常を認めないことになります。そのため、たとえ胃カメラで異常が見られなくても、症状がかなり疑わしい場合、逆流性食道炎疑いとして治療することも検討する必要があります。

つまり我々医師は『胃カメラに騙されない』ように気を付けなければなりません。

逆に胃カメラが出来ない消化器内科以外のクリニックでは先に胃薬による治療を行い、それで症状が改善すれば逆流性食道炎と診断するのも一つの方法です。(これを診断的治療といいます)

 

(5)逆流性食道炎の治療

以下の2つの方法が選択されます。

①胃酸の強さを抑える(胃液のpHを上げる)

主に制酸薬と呼ばれるものを用います。その中でも世間でよく使用されているガスター等の従来の制酸薬は、胃酸を抑える力が比較的弱いため改善が乏しいことも多いです。最近ではプロトンポンプ阻害薬(PPI)とよばれる薬剤がしっかり胃酸の強さを抑えてくれるため非常によく用いられます。代表薬はネキシウム、ランソプラゾール、ラベプラゾール等が挙げられます。

②胃の働きをよくする

胃液の逆流を抑えるためには胃をよく動かすことも効果があります。これには六君子湯等の漢方がよく用いられます。

 

しかしこれらの治療でも改善しない場合は、逆流性食道炎の診断そのものが間違っている可能性を疑う必要がります。医療のどんな分野でもそうですが『一度つけた診断にずっと固執する』のはNGです。自分がつけた診断が正しいかどうか毎回吟味することが誤診を防ぐために最も重要なことです。

 

 

以上、かなりのボリュームでしたが胸部不快感に関してのブログはこれで終了とします。

ここまでご覧いただいた方はお腹いっぱいですよね(汗)。まとまりがなくて申し訳ありませんでした。

最後にもし胸部不快感がある患者様は遠慮なくご相談くださいね。

では素敵なお盆休みをお過ごしください。

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